黒騎士-ブラックナイト-
「ただいま。」
レイドは白い歯を見せた。
「“異人”たちは……?」
シューは尋ねた。
「祭壇の間の魔法陣が解放されたわ。彼らは巨大な魔力を手に入れ、城を崩壊し里へ帰ったの。」
「そんな……!」
シューは驚きを隠せない。
「魔法陣に秘められていたのは、巨大な魔力を持った先祖の魂だった。その魂はオルディンという男の身体に入ってしまったんだ。」
レイドは歯を食い縛る。
「オレ達の守り神として讃えられた先祖、ヴォルフィットは人類最強の魔術師。そいつが甦ってしまった……。」
「レイド様……?」
「全部思い出したんだ。失った記憶も歴史も全て……。」
「とりあえず今は、港町に戻りましょう。詳しくは後にして。」
レイドはリィナを抱え、空へ飛んだ。
シューとフィルは来た道を戻った。
†
「王女様!」
「リィナ様!レイド様!」
「ただいま、みんな。」
港町に避難した騎士や国民が2人を出迎えた。
みんなが涙を流し、2人の帰還を喜んだ。
4人はすぐさま、この町の宿へ向かった。
「おぉ……リィナ様、レイド様!」
ヴァィも涙を浮かべた。