黒騎士-ブラックナイト-
その宿には、ヴァィやシューといった位の高い騎士や、王国騎士が数人寝泊まりしていた。
他のメイドや国民は空き家に身を移している。
「リィナ様!レイド様!よくぞご無事で!」
フゥリが会議室で出迎えてくれた。
「心配かけてごめんね。でも大丈夫だから。」
リィナはニコッと笑った。
会議室にはレイドとリィナ、シュー、ダイ、スーハ、ヴァィ、フゥリが集まり、皆が椅子に腰かけた。
「レイド、アナタが思い出したこと、全部教えて?」
「あぁ。みんなに話しておかなければならないな。」
フゥリがグラスにリンゴジュースを注ぎ、一人一人の前に静かにおいた。
「まず……オレ達“異人”、ヴァペスリア民についてだな……。」
†
この世界が創られた時、そこには翼を持った人間が暮らしていた。
白の翼と黒の翼があり、白は少女、黒は青年。
互いに協力し、共存していた。
しかし、この世界にはもうひとつの人間が誕生した。
翼を持たない人間。
次第に彼らの存在が目立ち、翼を持つ人間は数が減った。
いつしか、白の翼を持つ少女はいなくなり、黒の翼だけが残った。