黒騎士-ブラックナイト-

ラックは腰に剣を差した。

アイラは双子を抱き抱え、2人で外の様子を垣間見た。

「あれは……!」

「ディンさんの家!」

ディン一家の住みかから炎がほとばしっている。

ラックたちだけでなく、里の者が一斉に外に出ていた。

「みんな!!聞け!」

ラックは空に飛び出し、叫んだ。

「ラックさん!」

「これは奇襲かも知れない!女と子供を避難させろ!!」

ラックは指示を出した。

避難場所は海に近い低い洞窟。

そこを抜ければ里を出る。

「男たちは戦闘準備をしておけ!」

ラックはアイラと双子を抱き上げた。

彼女は子供をしっかりと抱いた。

「いいか?オレが合図したら洞窟の奥へ走れ。」

ラックは太い木の棒に火をつけ、先に避難していたルーツァに渡した。

「ルーツァさん、アイラと子供を頼む。」

「任して。」

「ラック様、どうか無事で……。」

「絶対に守るさ。心配すんな。」

ラックはアイラの頭を撫でた。

「ラックさん!“聖人”が来た!」

「やっぱり……!」

ラックは急いで空に向かった。

2人はこうして引き裂かれた。

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