黒騎士-ブラックナイト-
姫君と国王
新規王国騎士を迎え入れ、1週間が経った。
試験の時に現れた“異人”については、今は様子を見る、ということにして、表に出さなかった。
それは、レイドへの配慮でもある。
新人の騎士たちは毎日、自分達の戦力を高めるためにトレーニングをしていた。
もちろん、今日まで遣われている騎士たちも業を磨く。
レイドはいつものように、木に登って空を見上げてた。
「空が好きなのね。」
リィナがまた、窓から話しかけた。
「なんだろうな…不思議と落ち着く。」
「私も空が好きよ。」
「なぁ…リィナ。」
「ん?」
「本当に死んだら空に還るのかな。」
この世界では死後、人間の魂は空に還り、子孫を見守ると言われている。
レイドは王国騎士になる前に、この世界の言い伝えを学んでいる。
「さぁ…死なないとわからないわ。」
「あまり前だろっ。」
二人は顔を見合わせて、映し鏡のように笑った。
「お父様もお母様も、きっと空から見ていらっしゃるわ。」
リィナも空を見上げた。