黒騎士-ブラックナイト-
オルディンは闇系魔法を完璧に習得したわけではなかった。
だから、あの闇を自由に消すことは出来なかった。
レイドの放ったヤマタノオロチが闇に混じり、男たちを見えない炎で襲った。
「レイド……。」
オルディンはレイドを抱いた。
泣き疲れたのか、スヤスヤと眠っていた。
「みんな、よく聞け。」
生き残ったのは、5人を含め、10人だけだった。
オルディンはその中で年長だった。
逆に、双子は年少だった。
「ここは父さんたちが残してくれた最後の住みかだ。俺達は今日からここで暮らす。」
ザザーン……
波の音がした。
空と海はオレンジに染まっている。
「大人たちはいない、だけど、俺達だけで生きよう。そして……」
バサッ
オルディンは黒い翼を広げた。
「“聖人”に復讐するんだ!俺達の自由を奪う奴等を!」
オルディンは吐き捨てた。
「そうだ、オルディンの言う通りだ!」
5歳になったばかりの、ガゼットが賛同した。
「僕の母さんと父さんの仇だ!」
ガゼットの弟、4歳のサランダ。
「“聖人”なんて嫌いだ!」
5歳のネイビス。