黒騎士-ブラックナイト-
「リィナの母さんって確か……。」
「私が6歳の時に死んだわ、病気で。」
†
私、リィナが5歳の時に、お母様は病に倒れた。
原因不明の病に。
お母様はその時、27歳だった。
身体中に謎のアザや湿疹ができ、毎日高熱にうなされていた。
回復魔法も効かず、ただただ、奇跡を望むことしか、希望はなかった。
色んな医者に看せてもダメだった。
私の母、女王・ユリアナは気高く、美しく、国から愛されていた。
そんなお母様が私は大好きだった。
私の記憶にあるお母様は、優しい方。
どんな話をしたかとか、どんな遊びをしたかとかは覚えてないけど、誰よりも優しくて美しい人だというのは覚えてる。
病に侵されてから1年。
私は6歳を迎えた。
国中が私の誕生日を祝ってくれた。
お父様もお母様も、心の底から祝してくれた。
そして、次の日に―。
ユリアナ女王は28歳で、その生涯を閉じた。
「ごめんね…。リィナともっと居たかったのに……。お母さん、もうダメみたい。」
「私の子どもに生まれてきてくれてありがとう……。」