黒騎士-ブラックナイト-
フゥリは父子家庭で育った。
城に遣えていた父が亡くなった後、フゥリはルーゼンの女王に引き取られ、メイドとして遣えている。
「そうなんだ。」
「ただ、11年前に殺されたようです。」
「誰に……?」
「詳しくは……。さ、できましたよ。」
フゥリは綺麗にリィナの髪をくくりあげた。
「ありがとう。」
「有り難きお言葉です。」
2人は食堂へ出掛けた。
†
昼が過ぎた頃、レイドは1人でひっそりと小川へ来ていた。
“明日もまた来てね”
約束を果たすために。
「今日は早く帰らないとオルディンに怒られるんだけどな。」
レイドは翼をしまい、ゆっくりと水に足を浸けた。
タッタッタッ……
誰かが走ってくる。
レイドは草を蹴る音を聞き、草むらに身を潜めた。
“もし“聖人”に襲われたらどうするんだ!?”
バリックの言葉が咄嗟に浮かんだからである。
「レイドー!どこ?」
駆けて来たのはリィナだった。
輝く金髪を揺らして入ってきた。
「リィナ。」
レイドはひと安心して、草むらから身を出した。
「レイド!来てくれたんだ!」