黒騎士-ブラックナイト-
リィナは鼻をすすった。
「レイドって“異人”なの?」
リィナは唐突に尋ねた。
レイドは不意をつかれ、驚いたがすぐに返答した。
「オレたち以外の人間はそう呼ぶって聞いた。」
「じゃあレイドたち以外の人は何ていうの?」
「“聖人”って呼んでる。」
レイドは魔法陣を収め、火を消した。
「リィナは?」
「?」
「リィナは何?」
「お姫様。ここから遠い国のお姫様だよ。」
レイドには“お姫様”がわからなかった。
「へ、へぇ……」
「今日の夜の船で帰るの。だから、もう逢えないんだ。」
リィナは少し寂しそうな表情をした。
「そうなんだ……。オレも今日早く帰らないとみんなに怒られる。」
リィナはまた小指を立ててレイドの前につきだした。
「次は何の約束?」
「いつかまた遊ぼう。レイドの翼でなら私の国へ来れる。」
レイドは小指を結んだ。
「あぁ。また遊ぼうな。わかった、遊びに行くよ。」
ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます
「リィナの国って?」
「ルーゼン・ウルク王国。」
レイドは一瞬何か思い出しそうになったが、何も思い出さなかった。