黒騎士-ブラックナイト-
それだけを言い残し、旅立った。
国が涙を流し、お母様の死を見届けた。
†
「結局、原因不明のままだったけどね。」
「……そうか。寂しくないのか?」
「全然寂しくなんかないよ。」
リィナは満面の笑みで答えた。
「お母様が死んだ直後は、寂しくて悲しくて辛かった。でも、私にはお父様もいたし、国のみんなが居たから。」
「…………そうか。」
「それに、今はレイドも居るから私は大丈夫よ。」
レイドは、表には出さなかったが、その言葉がとても嬉しかった。
「8年前の異人の襲撃で、父さんは死んだんだよな?」
「えぇ…。」
「殺した異人ってい……」
レイドは言いかけて止めた。
これは聞かない、リィナが本当のことを、全てを話してくれるのを、信じて待つんだ。
それが、彼を止めた要因だ。
「え?なぁに…?」
リィナは言葉の続きが気になった。
「なんでもない。父さんってどんな人だった?」
レイドは話を反らした。
「そうね……」
†
私の父、国王・ハインドも、国を愛し、国から愛された王様だった。