黒騎士-ブラックナイト-
オルディンは少しだけ焦りを感じた。
「貴様は頭がいいらしい。」
「なに、ただ歴史書物が好きなだけだ。」
「…………。」
ローズは黙ったまま国王を睨み付けた。
普段は穏やかな表情の彼がこんなにも威嚇するように、顔をしかめる姿は見たことがない。
「さて、どうする?共存という選択肢もある。今ならまだその手を汚さずに済むぞ?」
「あいにくだが、その選択はあり得ない。魔法陣をおとなしく渡して国民の命を守るか、国民の命を渡して魔法陣を守るか。二つに一つだ。」
オルディンは2本の指を立てた。
「国民の命はとらない、と、約束してくれるか?」
「国王!」
「魔法陣がなくなってしまえば、私たちはただの騎士にしかすぎな……」
「命より重いものなどない!!」
国王は声を張り上げた。
それに騎士たちはおどけづいた。
「わかった。取り引きをしよう。その条件をのもうではないか。」
「では、その魔法陣のところまで連れて行ってもらおうか。」
国王は歩み出した。
騎士たちは国王を援護する体制に入った。
だが……次の瞬間―…