黒騎士-ブラックナイト-

グサッ……!!!

「かっ……はっ……!」

1人の騎士の胸から剣先が飛び出した。

真っ赤に染まったそれは、国王の目にしっかりと映った。

「神に見放された俺たちは、誰も信じない。」

騎士を刺したのはローズだった。

彼の顔に返り血がつき、まばらに赤く染まった。



「姫!姫様!!」

城に遣えるメイドたちがリィナを探し回っていた。

「私がついていながら……!」

フゥリは部屋の隅々を探したが見つからない苛立ちから、自分を責めた。

「フゥリ、そっちはどうだった!?」

まだ身分の低いシューがフゥリに尋ねた。

「いなかったです……一体どこに……!」

「そうか……俺は外を探してくる!」



フゥリたちがリィナを探している同時刻。

城下町へ買い出しに出たクゥリは“異人”に遭遇していた。

「城に遣える人間か?」

問うたのはジェネルだった。

クゥリの足元には、血にまみれて横たわる騎士の死体が数体あった。

「だったら何なの?」

ずれた大きな丸い眼鏡を直し、まっすぐにジェネルを見つめた。

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