黒騎士-ブラックナイト-
グサッ……!!!
「かっ……はっ……!」
1人の騎士の胸から剣先が飛び出した。
真っ赤に染まったそれは、国王の目にしっかりと映った。
「神に見放された俺たちは、誰も信じない。」
騎士を刺したのはローズだった。
彼の顔に返り血がつき、まばらに赤く染まった。
†
「姫!姫様!!」
城に遣えるメイドたちがリィナを探し回っていた。
「私がついていながら……!」
フゥリは部屋の隅々を探したが見つからない苛立ちから、自分を責めた。
「フゥリ、そっちはどうだった!?」
まだ身分の低いシューがフゥリに尋ねた。
「いなかったです……一体どこに……!」
「そうか……俺は外を探してくる!」
†
フゥリたちがリィナを探している同時刻。
城下町へ買い出しに出たクゥリは“異人”に遭遇していた。
「城に遣える人間か?」
問うたのはジェネルだった。
クゥリの足元には、血にまみれて横たわる騎士の死体が数体あった。
「だったら何なの?」
ずれた大きな丸い眼鏡を直し、まっすぐにジェネルを見つめた。