黒騎士-ブラックナイト-
クゥリはふらつきながら、ゆっくり立ち上がった。
「まさか浴びせられるとはね……私もなまったものだわ。」
「大したことなぇな。」
ジェネルはニヤッと笑った。
「貴方は物に自分の意を憑依させる魔法……。なんだか、似た者同士じゃない。」
「さぁな……今度はこっちから仕掛けるぞ?」
ジェネルは瞳を赤くした。
魔法陣が発動し、彼は両腕を広げ、集中した。
「舞え、僕(しもべ)ども!!」
ゴゴゴゴ……
彫刻された石を並べた地面がゆれる。
クゥリは踏ん張りながら、なんとかページを破いた。
「翼を持つ聖女の魂よ、今蘇れ!」
パァァァアアア……
同様に、クゥリの体に魂が宿る。
「女をいたぶれ!」
ドゴォッッッ!!!
地面が弾けた。
地面の石の塊が集まり、巨大な拳となって、クゥリに襲いかかる。
「なめんじゃねぇよ!」
ドガッッッ!!!
クゥリが叫ぶと同時に、巨大な拳は彼女を襲った。
「命中っ!」
ジェネルは白い歯を大いにさらけ出して笑った。
ガラガラガラガラ……
拳はまた、ただの石となり、崩れた。
しかし、そこにクゥリの姿はなかった。