黒騎士-ブラックナイト-

「は!?どこに消えやがった!?」

ジェネルは辺りを見回した。

しかし、クゥリの姿は見当たらない。

「ちっ……逃げやがったか?」

「誰が逃げただと?」

クゥリの声が聞こえた。

ジェネルは声がする方を見た。

その方向は空。

ビュゥゥウッッ!!

クゥリは空からまっ逆さまにジェネル一直線に剣を突き刺した。

彼女の背中には淡い光の翼が生えていた。

「踊れ、俺の僕!!」

ジェネルはとっさに、クゥリが突き刺す剣に意を憑依させようとした。

「!?」

しかし、剣はびくともしない。

「無駄よ、死ね。」

グサッッッ!!!

「うぁぁぁぁあああああ!!!!!」

ジェネルは叫んだ。

彼の右肩を、彼女の剣が貫通した。

血潮が吹き荒れ、クゥリは返り血をもろに受け、顔を血に染めた。

ジェネルは仰向けに倒れた。

クゥリは剣を抜かず、ジェネルの肩に刺さったまま彼の体から離れた。

そして、倒れるジェネルを見下ろした。

「はぁ……はぁ……くっ、くそぉ!何で憑依できねぇ!」

「あなたは魂を持たない、生きているものには憑依できない。」

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