黒騎士-ブラックナイト-
彼女はふらつきながら、手の甲で口の回りについた血を拭った。
「仲間の仇、討たしてもらう。」
ジェネルの遺体を、地面に寝かした。
シャッ……
ガゼットは腰に差した、2本の剣を抜いた。
「殺るって……?」
「あぁ、俺の愛刀が血を欲してるもんで。」
ガゼットは剣を十字に構えた。
同時に魔法陣が足元に描かれた。
「ったく……バカな男たちだわ……。」
ビリッ……
クゥリはまた1枚ページを千切った。
「憑け、不死鳥の魂よ!!」
パァンッッ!!!!
†
シューは城下町を走っていた。
自慢の黄金の梟を召喚し、町の火を消していった。
「姫様!リィナ姫様!!」
シューはひたすらリィナを探し回る。
城下町の住人を避難させながら、彼は走った。
行く先に、騎士の死体を目にしながらも、「すまん……よく頑張った。」とだけ言って走り去った。
そして、シューは信じられない光景を目の当たりにする。
「ク……クゥ……リ……?」
シューは震えた。
目の前に立っている、普段とは変わり果てた彼女の姿に怯えた。