黒騎士-ブラックナイト-
彼女の瞳の色が紫に変わる。
かすかに口元を緩めて、シューの顔を見ながら、ゆっくり立ち上がった。
「誰だ……貴様……?」
シューは眉間にシワを寄せ、まじまじとクゥリを見た。
「くくっ……誰だと?名前なんてねぇよ。」
ぺっ
クゥリは血のタンを吐いた。
また手の甲で口を拭う。
「まぁ名乗るとしたら、悪魔(サタン)。この身体の主だ。」
「サタン……だと?」
「この女が持つ、聖書に封じられた悪魔だよ。女は力を遣いすぎた。だから、オレはその隙を見て、憑依してやったのさ。」
シューは耳を疑った。
その聖書に、悪魔なんていなかったはず。
彼は記憶を辿って、それを思い出した。
「聖書……いや、元からクゥリの身体に棲んでいたのか?」
「……お前、頭はいいようだな。」
クゥリの身体を乗っ取ったサタンは、彼女の身体をコントロールし、剣を召喚させた。
「そうさ、オレはこいつの身体に棲みついた悪魔。こいつが力を発揮すればするほど、オレを封じる壁は薄くなる。そして、完全に崩壊したのは、この女だ。」