黒騎士-ブラックナイト-
召使と騎士
「お願い……私を殺し……て……」
シューは確かにクゥリの声を聞いた。
それは小さく微かにしか聞こえなかったが、腹の底からやっとの思いで発していた。
「クゥ……リ……」
「お願い……シュー……」
シューは一粒の涙を流した。
頬についた血が涙で流された。
シューはふらつきながら、ゆっくり立ち上がり、剣を力強く握った。
肩で息をし、息苦しく、立つのがやっとだった。
「へぇ……なかなかしぶといじゃないか。」
サタンは刃についた血を嬉しそうになめた。
「貴様…だけは……許さ…ない……!」
ゴォッッ!!!
シューは炎の魔法で攻撃した。
「オレに魔法なんて効かねぇよ。」
ドッッッッ!!!!
サタンはそれを左腕で塞ぎ、かき消した。
しかし、炎から放たれた風はあたりの砂ぼこりを巻き上げ、吹いた。
次の瞬間―。
ドクンッ!!
「――!!!!!?」
腹に違和感を感じた。
熱い、熱い、だんだんと熱くなる。
「が……はっ……!!!!」
大量の血を吐いた。
血は、サタンの、いやクゥリの身体の腹に差した剣を握る腕に落ちる。
「ば……かな……!」
刃はクゥリの身体を貫いた。