黒騎士-ブラックナイト-
そこはちょうど城下町と同じ方向だった。
「クゥリの気が消えた……?」
フゥリは恐る恐る口にした。
嫌な予感がする。
重い汗が額を濡らす。
左目にかかった前髪の奥の瞳に、涙が潤う。
「クゥリ……喰われたのか……」
「フゥリさん……!」
見習いの召し使いが、足早にフゥリのもとへ来た。
「姫様は見つかりましたか!?」
「いや……まだだ……」
前髪の下から、涙が伝うのを見た。
しかし、見えている右目からは涙が流れていない。
不自然な泣き顔だった。
「フゥリさん……?」
「クゥリの情報は入らないか?」
「わかりません……しかし、異人の死体が2体見つかったという知らせはありました。」
「そうか……クゥリ…お前が殺ったのか……」
フゥリは呟いた。
「フゥリさん……?」
「いや、なんでもない。リィナ様を探そう。」
フゥリは涙を拭って、また駆け出した。
†
王座の間に緊張が走る。
オルディンとローズは剣を構え、王と睨みあっていた。
「“聖人”ごときが俺たちに敵うもんか!!」
ダダダダダッッ!!!
ローズは勢いよく国王に突進した。