黒騎士-ブラックナイト-
そんな彼を、ロッツォはじめ騎士や国民は情けなく思っていた。
ムーシュはそんな息子を何とも思わず、むしろ父に似たんだと、皆は自分に言い聞かせる。
「……ルーゼンか?」
フィルは、ルーゼン・ウルク王国の名を口にした。
「ロッツォ、ルーゼンに行くぞ。」
「え?ルーゼン・ウルク王国ですか?」
フィルの案にロッツォは戸惑った。
「前から親父は、ルーゼンを敵対視していたからよぉ。ルーゼンに行って暴れてるかもな。」
支度しろ、と言い残し、フィルは部屋に戻った。
ロッツォは銀の髪を耳に掛け、ため息を吐いた。
「そのままルーゼンに居たいものだ。」
†
「文だ。」
リィナとレイドが、朝御飯を食べていた。
スープをすすりながら、彼は呟いた。
「…文?」
「あぁ、“転送術”だな。大丈夫、悪いやつじゃない。」
レイドはそう言って、席を立ち、2、3歩下がった。
「……受けとれ。」
レイドの目が赤くなると同時に、彼の掲げた手に、巻かれた手紙が出現した。
「リィナ宛だ。」
「誰から?」
「隣の国からだ。」
リィナの顔が歪んだ。