黒騎士-ブラックナイト-

「親父は?俺の親父はどこに居る?」

話がまったく読めない。

会議室にいるルーゼンの皆が、そう思った。

「私、ロッツォから話をさせていただきます。」

見るに見かねたロッツォが代わって話をする。

「私たちの国王・ムーシュが、昨晩、姿をくらましたのです。」

「な、なんですって?」

「それで、フィル王子様が、国王が以前から敵対視しているこの国に、訪れているのではないかと思われ、押し込むような形でありましたが、ここに伺わせていただきました。」

ロッツォの話で、皆がやっと話を理解した。

フィルは運ばれた水を飲み干すと、空になったグラスをフゥリに見せた。

「おかわりだ、次は酒を持ってこい。」

「失礼ながら、お酒はありません。」

「あ?なんだって?」

フゥリは困った。

すかさずリィナが助けに入った。

「私がまだ18歳だから、お酒を置かないの。」

「そ、そうかよ。」

フィルは王女という立場に敵わなかった。

彼は自分より身分の高い人には、一切逆らえない。

身分が全ての彼は、権力を振りかざして、自分を守っている。


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