黒騎士-ブラックナイト-
もう20歳なのに、まるで子ども。
ロッツォはなんとかなならないものか、頭を抱えていた。
「敵対視なさっているとは……どういう意味で?」
リィナが質問した。
「俺等、リヴェンの者はどの国よりも魔術が盛んで、“魔術師の国”って云われてきた。でも、最近じゃルーゼンより衰えていると言われてな。“異人”なんかに負けたこんな国なんかよりもな。はっ!笑えるね!」
フィルはゲラゲラ笑った。
リィナは呆れた表情を浮かばせていた。
「これを機会に、リィナ王女様に話がある。」
「なんですか?」
「魔法でどっちが強いか、闘わねぇか?」
その場に居た全員が驚きを隠せなかった。
「王子!なにをい……」
「そんなふざけた事、誰が承けますか。」
リィナの顔が険しくなった。
「どちらが上であっても、下であっても、決めたところで何になるの?馬鹿馬鹿しい、お帰りになって。」
彼女の言葉は大砲のように吐き出される。
「冗談だよ。親父が来てないなら用はねぇよ。ロッツォ、帰んぞ。」
フィルは言葉とは裏腹に、ふくれた表情で部屋を出た。
彼を追ってロッツォも部屋を出た。
「すみませんでした。」
一礼して去っていった。