黒騎士-ブラックナイト-
ドンッッ!!
レイドは机を叩いた。
「なんなんだ、アイツ。頭に来るな。」
「落ち着いて。あの方はどうしようもないの。」
リィナはフィルを扱い慣れてる。
「私はあんな権力を振りかざして、人を見下すようなこと、絶対にしたくないし、あんな方にありたくないわ。」
†
フィル王子一行は馬を走らせ、リヴェンを目指していた。
「王子、何がなんでもあのような発言は……。」
隣で走るロッツォが注意を促す。
「うっせぇ、お前は黙ってろ。」
また睨んだ。
彼はもうその目に慣れた。
「おい、あれ……。」
フィルが馬を停めた。
ロッツォたちも停まり、フィルの視線に目をやる。
その先には、国境に建てられたリヴェンの女神像だった。
灰色の岩石で作られた女神像は、いつもリヴェンの城を眺め、優しく微笑んでいる。
いつもと違うのは、彼女が手にしている水晶玉が割れていた。
「な、なんてことだ!?水晶玉が……!!」
フィルたちは女神像の元へ駆け寄った。
像の足元に、金髪の男が立っていた。
「貴様……!貴様がやったのか!?」
「あぁ、王女の命令でな。」