黒騎士-ブラックナイト-
リィナは頭が真っ白になった。
考えられない。
まさか……ルーゼンの者が……!!
「リィナ、その女神像って……」
「リヴェン・プール王国の象徴よ。いわゆる、リヴェンの守り神。あの像を壊すことは……。」
リィナの目に涙が浮かんでいた。
「国への宣戦を示す……!!」
一筋の涙が頬を伝った。
†
「貴様……これがどういうことか解っているのか?」
フィルは男に問い詰める。
「さぁ?」
「俺たち、リヴェンの人間を批判したのと同じなんだぞ?」
「そうなのか……。王女は解ってて指示したのかなぁ。」
俺はまた笑った。
「許せねぇ……くたばりやがれ!!」
ブンッッ!!
フィルは腰に差した剣をひと振りした。
振った時に起こった風が、炎に変わり、男に襲いかかる。
ブオォォッッ!!
「雑魚が。」
男は手のひらをかざし、炎を手に触ることなく、振り払った。
「な!」
「なぜそんなに怒る?リヴェンの象徴を、壊された怒りか?リヴェンの王子として、国の怒りをぶつけてるのか?」
男はフィルに問うた。