黒騎士-ブラックナイト-
「俺の顔に泥を塗られた、それが腹立つんだよ!誰かが殺されようが、俺には関係ないことはどうだっていい。」
ロッツォたち騎士は、フィルの言葉に絶望した。
「女神像が壊されたってことはな……王子の俺に恥をかかせてんだ。」
「へぇ……。アンタの無力さが明らかにされるのが嫌なんだな?」
「無力……だと?」
リヴェンの女神像は、国の象徴として奉られていた。
フィルは、女神像の存在こそが、自分の権力の尊重、自分の力の威力を示していると考えていた。
その女神像が破壊されたとなれば、王子の権力の偉大さ、力の威力が、衰えたと見られる。
国民にとっての女神像は、国の象徴であり、守り神である。
今までずっとこの女神像のお陰で、国の平和があると信じていた。
しかし、壊されたとなると、国民は不安を隠せなくなる。
国民に、王や王子のお陰で平和があると、思う者はいない。
フィルが俺に攻撃した時、この方は、私たち国民の怒りをぶつけてくれる、私たちを護ろうとしているんだ、と、改心した。
だが、その気持ちも、すぐに散った。