黒騎士-ブラックナイト-
魔法が発動しない。
必死に杖や、剣を振るが、まったく発動しなかった。
「魔法を封じました。アナタたちは、これでもう攻撃は出来ませんね。」
「ふ、ふざけるな!」
「お前たちごときにやられるリヴェンではない!!」
「やめろ。」
リヴェン城の方角から、白い馬が走ってきた。
乗っていたのはロッツォであった。
長い銀髪が風になびき、美しい光景であった。
「ロッツォ様!」
「おぉ、ロッツォ様!こいつらを殺してくれ!」
「落ち着け。」
ロッツォは冷静に、今の状況を感じ取った。
「ルーゼン・ウルク王国の総司令騎士・シュー様ですね?先程はどうも。」
「いえいえ。それより……」
「リヴェンの女神像を破壊したのは、アナタの国の者ですね?」
「違う!そんなことあるはずが……。」
「私たちはルーゼンを出て、ここを通ったとき、ルーゼン国民と名乗る男が、女神像の水晶玉を破壊した、と申しました。」
シューは目を見開いた。
そんなはずが……!!
彼にとって、ロッツォの言葉は胸に刺さった。
「それに、何でも王女の指示だとか。」
また胸に痛みが走る。