黒騎士-ブラックナイト-
ロッツォは剣を抜き、馬に乗ったままシューに突きつけた。
「三日後の早朝、国境にて待つ。この際に、両国の因縁を経とう。勝者がリヴェンの女神の祝福を受ける。」
「まさか……!」
「全面対決、戦争の幕開けだ。」
†
ルーゼン・ウルク王国とリヴェン・プール王国の国境に建つ、リヴェンの女神像の破壊事件をきっかけに、戦争が始まろうとしている。
ルーゼン村の住人に、怪我人が出たが、幸い死者はいなかった。
彼等は、シューたちの指導で城に避難した。
リィナは、相手の宣戦布告を聞き入れる他の術を考えていた。
対談をしても、あの王子が話を聞くはずがない。
女神像を壊した張本人を探すが、見つからない。
ロッツォが指示した、戦争開始日を明日に控えている。
しかし、リィナはまだ戦争を承諾しきれない。
「どうして……こんなことに。私は、どうしたらいいの?」
リィナは頭が割れそうなぐらい悩んでいた。
「王女、もう戦争を承諾するしか手はないかと……。」
「嫌よ!そんなこと、絶対に……!!」
「でも、受けて立たないと、一方的に被害を受けるのは、ルーゼン国民たちなんだぞ!?リィナはそれでもいいのか?!」