黒騎士-ブラックナイト-
国境戦争は5日目に突入した。
今日までの犠牲者は、両国合わせて40名。
ルーゼン王国騎士、10名。
リヴェン王国騎士、30名。
圧倒的にルーゼンの戦力が強いのだが、リヴェンの怒りは収まらず、対立が続く。
犠牲者の大半は、攻撃による傷害ではなく、自分の力を加減できずに自滅した者だった。
「このままでは、リヴェンの騎士たちが……!」
戦地で指示を出すシューは、耐えきれなかった。
しかし、ロッツォは攻撃の指示を出し続ける。
「行け!!ルーゼンの野郎共を蹴散らせ!!」
「うぉぉぉぉおおお!!!!」
リヴェンの騎士たちの勢いは増す。
同時に犠牲者が1人、また1人……。
若い命が消えていく。
その様を、壊された結晶玉の上に立ち、眺める人影2つがあった。
「なんだ…。あの情けない様は……。」
「このままだと、リヴェンは終わるぜ。」
「……。」
その2つの影に、両国とも気が付かなかった。
†
5日目の戦いは、同じく夕方に終わった。
この日、リヴェンには新たに5人の犠牲者が出た。
しかし、ルーゼンには犠牲者は出なかった。