黒騎士-ブラックナイト-
ガシャンッ……
剣が落ちる音が響いた。
フィルが落としたのだ。
腰を抜かし、フィルはその場に尻餅をついた。
「お……親父!!」
父の死を直視した彼は、言葉が出ない。
ただ、茫然と死体を眺めることしか出来ない。
バタッバタッ……
洗脳された騎士たちが、気を失い倒れていく。
コツッ……コツッ
ロッツォは剣を片手に、フィルの元へ歩み寄る。
「私は、絶対にアナタたち王族を許さない……!」
剣を持っていない右の拳に、血管がはち切れそうなぐらいに浮かぶ。
「アナタを殺せば我々は自由だ!」
ブンッ!
剣を振りかざす。
「やめて!ロッツォさん……!!」
リィナの願いは届きそうにない。
「……ちっ!」
リィナの腕から、レイドがすり抜けた。
「あっ……!」
「うらぁぁぁぁあああ!!!」
「やめてくれぇぇえ!!!」
フィルは叫んだ。
構わず勢いよく剣は振り落とされる。
「―――!!!」
キンッッッ!!!
剣は、フィルに届かず止まった。
「はぁ……はぁ……や、やめろ……。」