黒騎士-ブラックナイト-
リィナは、窓を開ける手を止め、振り返った。
外では星が輝く。
「……えぇ、全て。」
「そうか……終わったのか。」
レイドの口元が緩み、笑みがこぼれた。
「犠牲者は騎士だけで済んだのは幸いだった。死んだ騎士たちの魂は、ちゃんと還ったかな……。」
リィナは空を見上げた。
三日月が美しく輝いている。
「……私は、この戦いの意味がわからない。」
レイドのベッドに腰掛け、背中で話す。
「リィナ……。」
「悲しいね、人間って。」
ひっく……ひっく……
リィナの背中が揺れる。
彼女は涙を流した。
「怖かった……。」
「…………。」
すっ……
レイドは彼女の背中に、軽く握った拳をあてた。
「もう大丈夫だからな。」
「う……うぅ……ぅぁぁぁん……!!!」
リィナは声を上げて泣いた。
レイドは彼女の脇の間からから腕を出し、優しく彼女の手を握った。
†
後に“リヴェン女神像の戦い”と呼ばれたこの戦いはたった6日で終わった。
圧倒的に力が負けていたリヴェンの騎士に、多くの犠牲者を出した。