黒騎士-ブラックナイト-
試験と騒動
レイドは稽古の部屋にいた。
ここは魔法や剣術、武術を鍛える、いわば、トレーニングルームである。
彼は部屋の中心で両手を大きく広げ、集中している。
目を瞑り、息を吸い、肩の力を抜いた。
スッと目を開けた。
「癒しを!」
一言そう叫ぶと、光を帯びた魔法陣が足元に浮かんだ。
フワッ
優しい風が吹き、辺りを散歩してから、風は止んだ。
「……大丈夫だな。」
口元を少しだけ緩めて、部屋を後にした。
彼の瞳は澄んだ青から、燃えるような赤に変色していた。
†
「王女様、集まりました。」
ヴァィがリィナの部屋のドアをノックした。
「わかりました。」
部屋で身支度をしていた。
「フゥリ、あなたはどう思う?」
「え、何をですか?」
「レイドのこと。」
フゥリはリィナの髪をときながら質問に答えた。
「私は、王女様は本当に、レイド様を信じておられると思いますわ。レイド様はこの国の人種ではないのには変わりないですが、今はもう側近騎士。人種などは関係ないのでは?もう、ルーゼン・ウルク王国の立派な家族です。」
「さすがフゥリね。」
「幼い頃からリィナ王女に遣っていただいてますから。あなたの気持ちはわかりますわ。」