黒騎士-ブラックナイト-

「どうしたの?」

リィナはフゥリに尋ねた。

「実は……」

フゥリはリィナの耳元で話した。

「……そう。これは叱らないと。」

「行って参ります。」

フゥリはすぐにフィルの元に行った。

「フィル、ついてこい。」

「あ?」

「皿洗いを頼んだ筈だが、できていないようだ。仕事はきちんとやれ。」

「まさか……皿を洗っていないから飯作ってないんじゃ……。」

「当たり前だろう。無駄に皿は出さん。」

フゥリは彼の腕を掴み、無理やり連れ去った。

調理室には、何も変わらずさっきのまま皿が積み重ねられている。

「私も手伝う。ほら、落としたエプロンを拾え。」

「代わりに誰かがやればいいじゃねぇか。」

フゥリは皿洗いをしたまま、言った。

「それは、王の代わりに国をまとめろ、と言っているのと同じであろう。」

カチャ…カチャ…

素早く洗われた皿が積み上がっていく。

フィルは何も言えず、ただフゥリの背中を見つめていた。

「与えられた仕事は、必ず本人が責任を持ってやる。それが私達のルールだ。」

「誰が決めたんだよ。」

「王女様だ。」


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