黒騎士-ブラックナイト-

フィルには不思議で仕方なかった。

「……ちっ!」

バンッ!!

勢いよく飛び出していった。

「いつかわかるだろう。あの方の魅力に。」

フゥリは小さく微笑み皿洗いを懸命に続けた。



いつもより遅れて、食事が済んだ。

その後、レイドはフィルの元に食事を運んだ。

「入るぞ。」

キィッ……

フィルは窓辺に座り、月を仰いでいた。

「なぁ異人、お前に聞きたい。」

“異人”という言葉に不快を覚えた。

「なんだよ。」

「なぜお前は、王女を慕う?」

フィルには本当に理解ができなかった。

自分が王位に就いていた時、誰も慕ってはくれなかった。

何かものを言えば、嫌な顔をされた。

ロッツォにでさえ呆れた顔で何度も睨まれた。

しかし、なぜ同じ王位に就くリィナ王女は慕われ、敬われるのか。

自分とは何が違うのか、わからない。

「……アイツは、オレ達を“家来”と思っていないからかな。」

「え……?」

「リィナは、オレ達を“家族”として慕ってくれるから慕うし、信じてくれるから信じる。だからリィナについていくんだ。」

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