黒騎士-ブラックナイト-
フィルには不思議で仕方なかった。
「……ちっ!」
バンッ!!
勢いよく飛び出していった。
「いつかわかるだろう。あの方の魅力に。」
フゥリは小さく微笑み皿洗いを懸命に続けた。
†
いつもより遅れて、食事が済んだ。
その後、レイドはフィルの元に食事を運んだ。
「入るぞ。」
キィッ……
フィルは窓辺に座り、月を仰いでいた。
「なぁ異人、お前に聞きたい。」
“異人”という言葉に不快を覚えた。
「なんだよ。」
「なぜお前は、王女を慕う?」
フィルには本当に理解ができなかった。
自分が王位に就いていた時、誰も慕ってはくれなかった。
何かものを言えば、嫌な顔をされた。
ロッツォにでさえ呆れた顔で何度も睨まれた。
しかし、なぜ同じ王位に就くリィナ王女は慕われ、敬われるのか。
自分とは何が違うのか、わからない。
「……アイツは、オレ達を“家来”と思っていないからかな。」
「え……?」
「リィナは、オレ達を“家族”として慕ってくれるから慕うし、信じてくれるから信じる。だからリィナについていくんだ。」