黒騎士-ブラックナイト-
「騎士試験の時に初めて、オレみたいな奴を見た。その時はリィナは奴を“異人”と呼んだ。それに、受験者も8年前に国を襲った奴をそう呼んでたんだ。」
レイドは次々と言葉が出てくる。
「異国の人間をそう呼ぶのかと思っていたけど、そうじゃないんだろ?」
今まで自分の中で葛藤していた気持ちが吐き出された。
同時にレイドは恐くなった。
返ってくる答えが恐かった。
「…………レイド。」
リィナが思い詰めた顔で名前を呼んだ。
「…………」
「確かに私達は、アナタのような褐色の肌と黒髪の人間を“異人”と呼んでるわ。でもね……」
静かに風が横切った。
「彼らの象徴である“羽根”はアナタには無い。レイドの魔法の形が彼らと一緒でも、それが無いから“異人”とは呼ばないし、アナタはアナタだからよ。」
たしかに……オレには羽根はない。
彼らと共通していない点が1つでもあったことが、彼には嬉しかった。
「……そうだよな。」
「えぇ。アナタが何であろうとレイドってことに変わりはないよ。」
ズキッッッ!!!
「くっ……!!」