黒騎士-ブラックナイト-
リィナは微笑んだ。
「今年はどんな人が集まるのかしら。」
「強者が揃うといいですね。」
フゥリもにこっと微笑んだ。
†
試験会場となるのは、城の門の前の庭園広場。
白いタイルで綺麗な場所だ。
そこにヴァィ、シュー、城の騎士たち、そして受験者である初々しい騎士たちが集まっていた。
受験者はざっと30名ほど。
新規騎士候補の中には、この国の城下町に住んでいる者や、ここから離れた国内の村の者、また、国外の者もいた。
「静粛に!」
城の建物内から仕切って出てきたのは、レイドだった。
その姿を見て、新人の騎士数名がざわめいた。
「あの人は白人ではないのか?」
「黒髪だと?」
「そんな者がどうして…?」
そんな話し声が聞こえていた。
城下町や城の近くに住む者は、レイドのことは知っているが、町外れの村の者や、国外の者は初めて見る褐色の肌であった。
「静粛に!」
レイドは声を張り上げてもう一度叫んだ。
ピタリとざわめきは止まった。
「初めてオレを見る人もいるだろう。見ての通り、オレは白人ではない。」