黒騎士-ブラックナイト-
ロイドは鼻で笑った。
「情けねぇなぁ、レイド。こんな弱っちぃ奴等に守られるなんてな。」
「……だ……誰だ…?弟なんて……いな」
ドクンッッッ!!!
な……なんだ?
誰だ……あの子どもは……?
2人で空を見ているのか……?
…………え?
「……!……!…レイド!!!」
はっ!
レイドは我に返った。
また背中の痛みが襲う。
「……が……いた?」
「……え?」
「オレが……2人いた?」
レイドは一瞬、幻のようなものを見た。
幼い自分が2人で空を見ていた。
「フラッシュバックか。」
ロイドは嬉しそうに微笑んだ。
「立ち去れ!レイド様は今、治療中だ!傷に障る!」
「は?傷だって?これだから“聖人”は……」
「“聖人”……?」
ロイドは翼を一回だけ羽ばたかせ、1つに結んだ長い襟足を揺らした。
「お前達がオレ達を“異人”と呼ぶ。それに対して“異人”以外をオレ達は“聖人”と呼ぶんだよ。」
リィナは初めて聞いた。
彼女だけでなくシューもだ。
「なんにも知らないんだな。」
リィナ達をバカにするように笑った。