恋日和
*一章
幸せのチケット
「わぁっ、待って待ってーっ!」
今にも閉まりそうな電車の扉に体を滑り込ませる。
“ぷしゅー”
ギリギリのところで挟まれずにすみました。よかったよかった。
周りの同級生達の笑い声、
知らない乗車者の嫌そうな目に包まれて立ち上がる。
パンパンっとスカートを叩くと、軽く埃が舞った。
「相変わらずだねぇ、日和は。」
ふふっと笑いながら近づいてくる声の主の方に目を向けると
一番の親友、唯奈が立っていた。
容姿端麗でちょっぴり天然な唯奈は、ふわふわした独特の空気をもっている。
「えへへ、寝坊しちゃって。」
今日は高校の入学式。
どんな人がいるのか、どきどきです。