世界一☆プリンセス
「彼女の前で堂々と他の女の子と電話よ? ありえない!!」


「それは蛍が出ていいって言ったからじゃない?」


「それでもさ…『明日家行く』だよ? ひどいよ…あたしまだ大輔と手も繋いでないのに」



泣き出した蛍と一緒にとりあえずお店を出た。




「蛍、落ち着いて? もしかしたらお姉ちゃんかもよ?」


「前兄弟の話したんだけど、一人っ子だって言ってた…」


「ち、血のつながらない兄弟」


「葵漫画の読みすぎだよ」



うまいフォローが思いつかなくて、そのまま黙り込むと、蛍が泣きながら言った。



「あたしね、大輔に『最低。大嫌い』って言っちゃったの」


「浮気だとしたら大輔が悪いんだしいいんじゃない?」


「よくないよ…大輔が浮気してても、あたしは大輔のこと好きなんだもん。あんなこと言うつもりなかったのに」



大輔、何考えてるのかしら?


あんなに蛍のこと好きだって言ってたのに…。



文句言ってやる!


「蛍、ちょっと待ってて」



そう言い残して、私は近くの路地裏に入った。
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