巡愛。〜ずっと傍にいて〜(仮)

君は、上杉の方の生まれ変わりなのだろう?



「…雫(しずく)、とは呼んではくれないのですね。あなたが付けてくれた名前なのに…。」



しゅん…と肩を落として寂しそうな顔をする。


その表情も、前世と全く変わりがなく…驚くばかりだ。


小柄で華奢な所も、潤んだ大きな瞳も、栗色で柔らかそうな長い髪も…声も…全て。


あまりにも前世の彼女と生き写しだから。



「…雫。」



俺の中の晴信が、名を呼んでしまった。



「晴信様…っ!!」



小さな華奢な体が、ふわっと俺に抱き付いてきた。



< 56 / 121 >

この作品をシェア

pagetop