巡愛。〜ずっと傍にいて〜(仮)

翌日。


婚礼の儀でようやく顔合わせとなったのだが。


俺は既に会っている、我が妻に。


そして、彼女の反応が見物だった。


花嫁衣装である白無垢を纏っている彼女は…やはり美しかった。


黒髪黒瞳でなくとも。


しかし、彼女は俯いて俺を見ようとしない。


それどころか、小刻みに震えている。


そんなに…俺に嫌われるのが恐ろしいのか。



「お初にお目にかかる。上杉の君、面を上げられよ。」



「…はい…。」



恐る恐る、ゆっくりと顔を上げた彼女だが、俺の顔を見るなり、大きな瞳を更に大きく見開いた。



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