Love&Cocktail
シカゴ

「乃愛!お前にいい話が来たぞ!」



ここはあたしが働いているバー。



開店準備をしていると、杣沢さんが声を掛けてきた。




「いい話…?何ですか?」




あたしはモップをかける手を止め、杣沢さんを見た。




「実はな、プラチナホテルの社長が今度行われるパーティーで、カクテルを作ってくれるバーテンダーにぜひ乃愛をと言って下さっているんだ。」




「プラチナホテルの社長が…ですか?」




あたしは驚いてモップを握る手に力を込めた。




プラチナホテルの社長と言えば、カクテルの味にはかなり厳しいと評判の人だ。




今までに何人ものバーテンダーが彼に泣かされてきたとも聞くし…。




「でも…あたしなんかでいいんですか?もっと腕の良いバーテンダーはいるんじゃ……」




「いーや!社長は“ぜひ美島さんに!!”と言って下さってるんだ!自信を持て!乃愛!!」




杣沢さんはやけに気合いの入った声であたしに言い聞かせる。




< 114 / 336 >

この作品をシェア

pagetop