Love&Cocktail
シカゴ
「乃愛!お前にいい話が来たぞ!」
ここはあたしが働いているバー。
開店準備をしていると、杣沢さんが声を掛けてきた。
「いい話…?何ですか?」
あたしはモップをかける手を止め、杣沢さんを見た。
「実はな、プラチナホテルの社長が今度行われるパーティーで、カクテルを作ってくれるバーテンダーにぜひ乃愛をと言って下さっているんだ。」
「プラチナホテルの社長が…ですか?」
あたしは驚いてモップを握る手に力を込めた。
プラチナホテルの社長と言えば、カクテルの味にはかなり厳しいと評判の人だ。
今までに何人ものバーテンダーが彼に泣かされてきたとも聞くし…。
「でも…あたしなんかでいいんですか?もっと腕の良いバーテンダーはいるんじゃ……」
「いーや!社長は“ぜひ美島さんに!!”と言って下さってるんだ!自信を持て!乃愛!!」
杣沢さんはやけに気合いの入った声であたしに言い聞かせる。