Love&Cocktail
女性はカウンター席に座ると、フゥと息を吐いた。
なんだかそんな些細な仕草さえも色っぽくて羨ましくなった。
あたしは滑らかに声を掛けた。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
すると女性はゆっくり顔を上げ、あたしを見た。
「あら……あなた女性のバーテンダーさん?」
女性は不思議そうに問い掛けてくる。
「はい、そうです」
あたしはニッコリと微笑む。
「そうなの〜。女性のバーテンダーさんなんて珍しいわね〜…なんだか素敵ね!」
女性はあたしに笑顔を向けると、上着を脱いだ。
杣沢さんがその上着を預り、ハンガーに掛けた。
「んー…何にしようかしらね。ねぇ、あなたお名前は?」
出されたおしぼりで手を拭きながら女性はあたしに質問をぶつける。
「私は美島乃愛と申します。」
「乃愛ちゃんね。あたしより年下よね?」
「あ……私は22歳ですが…」
「あ、やっぱりあたしより年下ね。あたしは26よ。」
26か。
あたしより4つ年上だね。