Love&Cocktail
「ここじゃ落ち着かないしさ、俺の部屋来ない?」
「あっ、うん!」
優人さんはあたしの手を握ると、止めてある車に向かって歩き出した。
そして車に乗り込むと、優人さんはエンジンを掛けた。
「ねぇ優人さん、今日大丈夫なの?」
あたしはシートベルトを締めながら言った。
「ん?何が?」
優人さんは何食わぬ顔であたしを見た。
「だって…お仕事忙しいって言ってたでしょ?なのにあたしと会ったりして大丈夫なの?」
あ、何言ってんだろ…あたし。
会いたいって言い出したのはあたしなのに。
「大丈夫だよ。ある程度は片付けてきたし、乃愛に会いたくて仕方なかったから」
優人さん…。
あたしは嬉しくなって優人さんのスーツの裾を握り締めた。
「ありがと…優人さん」
「ん?あぁ」
優人さんは優しくあたしの手を握り返してくれた。
あたしより一回り大きい手。
男の人の手……。