Love&Cocktail
ジュエリー・ボックス
あれからすぐ、優人さんはあたしを抱き上げたまま歩き出した。
「あ、あの…優人さん……?」
あたしは優人さんの胸に掴まりながら呟いた。
なのに優人さんはまったく反応を示さない。
それどころか回りがまったく見えてないみたいだ。
あたしはそんな優人さんに不安になりながらも、火傷した右肩をキュッと押さえた。
「痛い?」
「えっ?」
「火傷。痛い?」
優人さんはそう言いながらエレベーターに乗り込んだ。
「あ、うん…。ちょっとだけ……」
あたしは遠慮がちに答えた。
「そっか…。待ってろよ、今すぐ手当てするから」
「うん…」
優人さんはそれだけ言うと、また黙ってしまった。
そしてしばらく歩いて1つの部屋の前に着いた。
優人さんは器用にカードキーを操作し、部屋の鍵を開けた。