Love&Cocktail
ヘミングウェイ
「――はぁっ、はぁっ…」
全力で走って、着いた場所は自宅マンション。
あたしは息を切らせ、肩で息をしながら必死に頬に流れた涙を拭く。
優人さんが他の女の人と一緒にいた事実。
あたしはどうしても信じたくなくて…逃げてきてしまった。
「……っ…ぅ…」
また涙が溢れてきて、あたしはその場に崩れ落ちてしまった。
悲しい。
心が痛いよ、優人さん…。
マンションはすぐそこなのに、あたしは肩を震わせたまま、泣いていた。
その時。
「――こんなとこにいつまでもいたら風邪引くよ」
え…?
あたしはふと顔を上げた。