Love&Cocktail
「ゆ、うと…さん……」
「ほら、立って。ここまで来ちゃって申し訳ないけど…俺の部屋行こ?」
なぜかそこにいた優人さんはあたしの腕を引っ張り、立たせた。
横を見ると、見慣れた優人さんの車。
でも…今は……
「ごめんなさい…。あたし……」
――グイッ!
言葉を発しようとした途端、いきなり優人さんに抱き締められた。
「――っ!」
背中に回る優人さんの腕。
いつもなら嬉しいはずなのに…
今日は嫌でしょうがない。
「やっ…!離して、優人さ……」
あたしは必死に優人さんの胸を押し返す。
けどそれに反するように、優人さんのあたしを抱き締める力は強まっていくばかり。
「離さない」
優人さんは低くあたしの耳元で囁く。
ビクッと反応するあたしの体。
それと同時に…治まっていた涙が再び溢れ出した。