Love&Cocktail
「な、何よ…アンタ……」
上田さんは驚いたように目を見開いた。
「そのように大声で話されては他のお客様のご迷惑になります。ご存じないですか?“バーでは声低く語れ”という言葉を」
「……っ…!」
「バーはお客様がお酒を楽しむ場であり、自分自身と向き合う場でもあるんです。なのにそんな所で大きな声を出されては皆様が楽しむことも、向き合うことも出来ません。」
宇野くんはキッパリと言った。
「う、うるさいわね…帰るわよ!帰ればいいんでしょ!?」
上田さんはイラついた声を出し、バーを出ていった。
――バタンッ…
少し乱暴に閉められた扉。
あたしはかなりホッとした。
「大丈夫ですか?乃愛さん」
宇野くんが心配そうにあたしの顔を覗き込む。