Love&Cocktail
「お待たせ致しました“シャーリー・テンプル”です」
あたしはカクテルを彼女に差し出した。
彼女は流し目でカクテルを見ると、グラスを持った。
「……いただきます」
ボソッとそう呟くと、カクテルを口にした。
あら。
ちゃんと礼儀は出来てるじゃない。
あたしは心の中で密かに感心した。
「……美味しい」
彼女は暗かった表情を一気に変え、グラスを見つめた。
「ありがとうございます」
あたしはニコッと微笑むと、お礼を言った。
「……ねぇ、お姉さん」
「はい、何でしょうか?」
女の子はスッとあたしを見ると、ゆっくり口を開いた。
「……彼氏…いるんだよね…?」
あたしの左手の薬指を見ると、羨ましい気に呟いた。
「あ、はい…。」
あたしは指輪を撫でながら答えた。