大嫌いで、大好きな君





「あたしここで降りるね」



「そっか。俺も降りよ」



そういってレイタも席を立った。



「あれ、レイタ、次の駅じゃないの?」



そういうとレイタは小銭を出しながらあたしのほうにÜだけ向けた。



「次の場所もあんまり変わらないしね」


そういってレイタは笑った。
どうしてだろうね。
そんなところにふいに惹かれちゃうよ。
みんな、昔からそうだった。
女子に優しいレイタは、結構モテた。
でも、レイタはそれをことごとく振るんだ。
優しさを、自分への好意とみんな勘違いしちゃうんだ。
それくらいにレイタは優しかった。


そんなレイタとミユが付き合ったのはみんなもびっくりだった。
だから、それを嫉妬しちゃう子もいた。
もちろん、ミユにも、レイタにも。
ミユ、結構モテるんだよね。


あたしは2人には続いてほしかったな。
そう思っていた、本気で。




気づくと、あたしとレイタはすでに歩き始めていた。
レイタはあたしの歩幅にあわせて歩いてくれた。
さすがって感じ。
道路側を歩いていて、あたしを歩道に入れてくれる。
そんな小さな優しさがあった。






「じゃあ、あたしこっちだから」


「あー、そっか。じゃあな」


「うん、じゃあね」




あたしは去っていくレイタの後姿を見ていた。
あたしはそれを見送ると、家に向かって歩いた。
< 14 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop