大嫌いで、大好きな君
まわりは、屋台のソースなどのにおいだ充満していた。
子連れの親子や、カップル、小学生や中学生。
いろんな人たちがいた。
そして、同級生などにも会って軽くあいさつを交わしたりした。
そうしながらグルグル屋台を廻ったりした。
そうしていると時間は過ぎていく。
本当に楽しかった。
ミユと喋りながらまわる屋台はおもしろくて
話しかけてくれるみんながとてもたのしくて
サービスしてくれたたこ焼きのおじさんに感謝して
すごいすごいすごい祭りを楽しんだ。
きっと、今年一番の楽しい思い出。
そして祭りも中場にさしかかった。
すると、向こうのほうで見たことある顔を見つけた。
「レイタ…」
レイタを見つけた。
友達と楽しそうに喋っているレイタ。
私服着てて、あのときみたいだった。
ふいに笑う、その笑顔がとてもかっこよくて
…いとおしく思ってしまう。
すれ違ったとき、
レイタ、話しかけてくれるかな?
いまのあたしは話しかけにくかった。
全然話してなかったから…。
レイタ…
話しかけてくれるかな…。
少しね…、少し期待したよ。
だって、あなた優しいから…。
そうおもいながらレイタとの居地が縮まっていく。
―――――――ドキドキッ。
心臓が…
浴衣着てるから恥ずかしい…。
あたしは気づかない不利をしてレイタのほうへ歩いた。
もう少し…
―――――ドキドキ
――――フッ…
え…、
レイタはあたしのほうに見向きもせず、
横を通り過ぎた。
レイタァ……
レイタ…?
あぁ、あたしはなんて馬鹿なんだろう…。
話しかけてもらえると期待していた。
やっぱりどこかで期待をして
いつも裏切られる期待…。
あたしはうぬぼれすぎてる…だからその分傷つくんだ…。
あたしはうつむいて、泣きそうになるのを必死で堪えた。
そして心配してくれたミユになんとか笑顔を見せて
祭りを最後まで楽しんだ。