大嫌いで、大好きな君




屋上への階段をのぼって、見慣れたドアを開けた。
風があたしの髪の毛をかすかに揺らす。
夕日が優しく屋上を照らしている。
そういえば、告白されたときもこんな感じだったね。
あたしはそう思い屋上をあるいた。

横をみると、見慣れた背中があった。
あたしはゆっくり近づきながら名前をよんだ。




「アユム」




「…ゆう」





ゆっくり振り返りながらあたしに優しく微笑みかけるアユム。
そしてあたしのほうに近づいてくる。



「返事、聞かせてくれるの?」




あたしはその言葉にゆっくりうなずいた。
そしてあたしは口を開いた。




「アユム、告白してくれてありがとう。うれしかった」



あたしは一回うつむいてそして顔を上げた。
そして



「アユム、付き合って…ください」





「本当…?」




その言葉にあたしはゆっくりうなずいた。
その瞬間、ふわっと抱きしめられた。
アユムがあたしを抱きしめた。
耳元で「ありがとう、ありがとう」って何回も言っていた。
アユム…。
ごめんね、アユム。
いっぱいいっぱい傷つけるかもしれない。
ごめんなさい…。
でも、今のあたしはそばでアユムに支えてもらいたい。
いつかアユムのこと、本気でスキになってみせるから…。




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