大嫌いで、大好きな君
授業が終わった。
あたしはいつものように帰る準備をしていた。
そのときだった。
「ゆうっ」
優しい声、
優しくて、頼りになる声が後ろのほうから聞こえた。
振り返ると、そこに立っているシルエット。
背が高くてセットしてあるかみの毛。
「アユム」
あたしがその人の名前を呼ぶと、アユムは優しく笑って
「一緒に帰ろっ」
そう言ってきた。
優しくて暖かい。
こんなの、初めてじゃない?
なんとも感じなかった、この行動。
アユムだと、すべてが優しくて暖かいよ。
なんでだろうね?
すべてを知っててそばにいてくれるアユム…。
アナタは本当に強い心を持ってるね。
好きになってくれて嬉しい…。
「うん、帰ろうか」
あたしはアユムの隣にたった。
そしてミユたちにさよならを告げた。
アユムはあたしの手を握り駐輪場まで連れて行った。
アユムはそあたしの自転車を持ってきて、あたしを後ろに乗せた。
あたりまえのように前に乗りあたしに少しだけ顔を向けて聞いてきた。
「どこ行く?」
あたしはアユムの腰に手を回しながら行った。
「どこでもいいよ。アユム、連れてって」